代表挨拶
全国に遅れをとってきた沖縄中長距離界に近年明るい兆しが見えてきています。特に高校生達の活躍は目覚ましく、2021年全国高校駅伝男子の部で、北山高校が27位と躍進したのをはじめ、個人では北山高校の上原琉翔選手が5000mで13分56秒84をうち立てました。これは沖縄の高校生初となる夢の13分台で、全国のトップランナーとしての位置を確立したタイムといえます。
上原選手は大学進学後も箱根駅伝での活躍や10000mで28分36秒44を記録するなど順調な成長を続けており、沖縄の選手たちの大きな励みになっています。
一般の部においても2023年の九州選手権大会で数名の選手が上位入賞しており、そのレベルは着実に向上しています。
しかしながら、全体的に見るとその差は拡大している状況にあります。全国高校駅伝のデータを元に20年前の5年間平均と直近の5年間平均を比較すると男子は6分28秒あった差が8分41秒に、女子は7分00秒から10分41秒に拡大しています。また、全国都道府県対抗駅伝でも男女共に低迷が続いています。
県内には、本土のように実業団チームが存在しないこともあり、練習時間の確保や遠征の際の資金の捻出などほとんど選手自ら負わなければならないことも大きな要因ですが、最も大きな要因は、選手たちに競技力向上のための環境を提供できていない中長距離に携わる私たちにあるものと考えています。
私たちはこれらの課題を克服し、選手たちの競技力向上を支援することを主目的に2016年「育夢舎ランニングクラブ」を立ち上げ、2021年6月にはNPO法人に移行し、活動拠点の拡大、コーチ陣の充実による指導力の向上、選手たちの発表の場となる大会開催の検討、県外の大会や記録会への参加費用の支援等種々の活動を展開しています。
これらの活動を維持していくために大きな壁となっているのが資金の捻出です。現在の活動資金は小・中・高校生3000円、大学生・一般5000円の年会費と企業・団体、個人からの寄付金、当クラブの事業収入から成り、年間100万円程度であり大変厳しい状況です。
沖縄の高校野球の全国レベルの活躍、バスケットボールの琉球ゴールデンキングスの優勝などスポーツは私たちに感動と勇気、喜びを与えてくれます。
そのステージ造りは中長距離でも十分可能だと確信します。その達成のため行政、企業、県民皆様の一層のご支援をお願いするものです。
当クラブの最終目標は人材の育成です。どんなに強い選手を育てても人材育成に繋がらなければ何の意味もありません。老若男女全てが参加でき、この活動を通じて感謝・協調・協力の重要性を学び、広く社会に貢献できる人材育成を活動の重要な柱のひとつとしつつ、「沖縄から中長距離オリンピアンの誕生」を合い言葉にそれを育み夢を追い続ける選手たちの学び舎としての使命を果たすべく全力でこの活動に邁進していく所存です。
県民の皆さまの暖かいご支援を重ねてお願い申し上げます。
育夢舎ランニングクラブ
理事長 喜納憲利